<8/8> 私は、柔道界の偉い人に聞きたい。我々一般人は手やロープで相手の首を絞めて失神させれば、立派な殺人未遂になり、刑罰が待っている。しかし柔道では、後ろから相手の首を腕で失神するまで絞めることができたり、両手で柔道着をしっかり握り相手の首を力まかせに絞め上げて失神させたりすることが立派で合法的な柔道の技であるというのはなぜか。少なくとも実践では禁止するべきではないか。
 私は思う。締め技で相手の首を絞めた時、脳細胞への血液が途絶えることは医学的にも明らかなことである。また脳細胞は死んだら最後、他の細胞のように二度と生き返ることはない。そして、審判の不注意や絞め落とした生徒の不注意やその他の理由で、絞め落とされた生徒に、脳傷害をもったり、植物人間になったりする可能性があるということだ。そして最悪の場合は死亡という結果になることは、十分予見できることではないかということである。また中には不整脈のような心臓病を持っている生徒もかなりいるのではないか。恐怖の余りショックを受けるかもしれない。意識が戻るまでには個人差があり、中にはかなり時間のかかる生徒もいることだろう。絞め落とす生徒にしても、自分はこのまま相手の首を絞め続けておけば死んでしまうという危険な技を使用しているという認識は十分にあると思う。こういう危険性自体を認識している限りこの生徒に過失はあるということではないか。ということは、絞め落とされた生徒にもし、脳傷害等の危険性が現実化した場合、責任を問われるのは当然ではないかと思う。そして「今度の相手は、体が小さいから絞め技を使え」と指導する顧問は当然いるであろう。これなど「共同して犯罪を実行した」と評価していいのではないか。つまり、「絞め技」を認めている、顧問や柔道関係者は共犯ということになるのではないか。もっとも脳傷害がおきても過失傷害で30万円以下の罰金または科料であり、過失致死の場合に至っても、たった50万円以下の罰金である。 ↓



 柔道では「礼に始まり、礼に終わる」といわれる。礼は自らの気持ちを整えると共に、相手への敬意を表す。名言であると思う。しかし相手への敬意を表す人が、相手の首を絞めたりできるものだろうか。選手の生命にかかわる、また後遺症として残る可能性のある絞め技を、関節技と同じように禁止技にできないのはなぜか。もし禁止技にできないのであれば、全国の柔道をしている娘をもっている父親に対して、絞め技といえども絶対安全で、後遺症の心配もなく、危険のないことを、納得いくように説明してあげてほしい。
 柔道の試合で相手を押さえ込む場合に、残り時間が少なくても、普通の選手は絞め技は使用しなくて、固め技に持ち込むのではないか。嘉納治五郎先生は「柔道を行うことにより、相手を尊重し、互いに協力し、助け合って、自分も相手も共に向上していくことが、世の中に役に立つ」と、述べておられるが、私も大賛成である。しかし絞め技に関しては、どのような教育的な意味があるのか、また首を絞めてもよいという絞め技を通してどのような生徒を育てようとしているのか教えてほしい。しかし婦人警官がこの技を習得するというのなら、勿論大いに賛成である。
 そして「柔道というのは、こんなものであり、首を絞められ失神するのがいやな生徒は、柔道部にくるな」という態度を取り続ける限り、女子柔道に未来はないものと思う。バレーボール部の生徒達は、彼女達よりも2周りも4周りも身体が大きく、柔道をすれば必ず優勝できるすばらしい体格を持った選手になれると思う。しかし、絞め技の話を聞いて誰もが異口同音に、「柔道をやってなくて良かった」と言う。また一般の父母達に聞いてもこんな恐ろしいことが、本当にあるのかと、逆に質問される。世間一般の人は、柔道で落とされるという実態を、ほとんど知らないのである。そして「恐いねえ、柔道なんてするものではないね」口を揃えた様にみんな同じことを言う。これはいったい何を意味するのだろうか。
 そこでお願いがある。柔道の顧問の先生に、まず自分の生徒に絞め落とされてもらえないだろうか。生徒に背負い投げで投げてもらうように、もし絞め技が立派な技なら何の抵抗も問題もないはずである。そして安全かどうか、脳への障害は確かにないのかどうか調べていただけないでしょうか。そして、義務教育にふさわしい技なのかどうか、そんなことについて柔道関係の方々をはじめ教育関係の先生方、そして医者の方々みんなで集まって、ぜひ一緒に考えてもらいたい。そしてこのようにすることが、今後の女子柔道の層を厚くし、更に発展するものだと、私は硬く信じて疑いません。<8/8> ↑
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